3年

もうすぐここに鍼灸院を開いて3年になります。濃厚な3年間でした。

8753c56610年前に 自分自身の踵の痛み(ランニング障害)をなんとかするため 鍼灸治療と出会い、その治療内容と効果に とても″面白味″を感じました。

(←2007年 とある鍼灸院で 私の右足を治療中)

手術しても良くならなかった左踵の痛み・・・ これ もしかして鍼灸治療に早くから出会ってたら 踵にメス入れずに済んだかも・・・そんな風に マジで思った。

でも 鍼をどこ狙って入れてるのか?鍼を入れられた時に ズーンとくる響きは何なのか? 治療中 先生に質問しても納得のいく答えは帰って来ず・・・

だからこそ ″面白味″を追究しようと 鍼灸師になる道を選んだ。

もっと知りたいと思った。

鍼灸学校の授業内容は 国家試験用の内容で、鍼の響きを質問するどころか 超低レベルで、解剖学の授業中に講師に一般的な質問しても答えは 「来週の時間までに調べときます・・・」なんて有様・・・

東洋医学の先生は 経験だけに頼った内容で、鍼を刺した場所は科学的にこんな現象が起きてるから 鍼灸治療して良くなるんだとはっきりと説明できる先生は皆無、

正直めちゃくちゃ落胆した。

とっとと授業カリキュラムをこなして、自分が知りたい勉強をしたいと思った。

卒業してから1年間は 3年間の仕事と学校の無理な両立生活がたたり 喘息症状が悪化、体調を崩したのもあるけど やっと念願の自分の知りたいと思っていることを勉強しまくっていた。

そこで出会ったのが 長野式鍼灸治療の本で これはすごく本質を突いた内容だった。

痛いところとは全然違う箇所をセット鍼で治療することにより 離れた患部に作用し 実際雇われ鍼灸師で整骨院で働いていた時、たった10分の治療でも 患者さんの改善した変化に手ごたえを感じた。

もうこうなったら その仕組みが科学的に知りたいと思った。疑問は違うベクトルで増幅していた。

そして開業して患者さんに時間をかけてじっくり治療していくうちに その治療ポイントがすべて バランスを整えることを狙っているんだってことが解ってき出した。

気のバランス、水分バランス、血流バランス、内臓配置の前後バランス 左右バランスを整えるのを狙ってるんだ! 上下 左右 前後バランス・・・スパイラルもあるぞ!! 面白かった・・・ そうなると 定番の長野式の治療ポイントだけでなく 経絡や筋膜走行の流れを読んで 自分流の いや、その患者さんの身体に合ったオリジナルの治療ポイントが自ずと解ってきだした。

なおかつ 患者さんを細かく診れば診るほど

結局 病気って いろいろ名前が付いてるけど 悪くなっていく過程は すべてバランスが崩れていくから病気になるのであって 疾患名は 単に局所的に起こってることに名前つけてるに過ぎない

そんなもんに踊らされて その場所だけに作用する薬飲んだり 痛いところに徒手療法行っても無意味 ・・・ いや違う 単に臭いものに蓋してるだけで 逆に 病巣を増幅させてきていることに気づきだした・・・

膝が痛いからと安易にメスを入れて 結合組織を切り裂くことが 後々どれだけその患者さんの体全体に悪影響を与えるのか解ってない医療が蔓延している・・・ 患者さんも それが医療であり治療だと思い込んでる・・・ それで治るんだと信じ込んでる・・・ それが今の医療の実態・・・

痛みの仕組みが解れば解るほど現在の医療は 大間違いで、目先の対処しかしていない・・・
本当の治療は痛みを訴えている場所じゃなく 痛くなった原因の箇所にアプローチして 全体のバランスを整えることに重きを置くべきなのに・・・

そして同じ患者さんを繰り返し治療すればするほど 結局最後は 胃の機能を調整することになると気づいた・・・(詳しく言うと 胃と膵臓)

結局 最後はここなんだ・・・

胃は 食べ物を消化する場所・・・ でもその消化する食べ物が 身体の中で自然に起こるはずの生体反応とは違う 身体の機能を損なう反応を起こすもんだったら・・・

食にも目線が切り込んで行った・・・

そして世に蔓延している 食事情は 害のあるものがほとんどで 本来 体を元気にする食は 探すのがちょー大変なこともわかってきだした。

解れば解るほど いっぱいこの世の中に失望した3年間だった。

でも これを解らず の~天気に死んでいくより 解って良かったと思う。本当に良いものが解ったから。

今 私の頭の中は すごくクリアーです。

足の小指の爪の根元に お灸をしたら逆子が治るのは 鍼灸師ならだれでも知ってる 古典的な治療法。
でもそれはどうして良くなるのか? 理論立てて言える人はいなかった。

でも今では その作用機序どころか 足の小指の爪が小さい人とか、指が浮いてる人が、どういう不定愁訴が出ているのか解るようになった。

鍼の響きは何なのか鍼灸の専門書でさえ ズーンとくる響きの正体は解らないと特集記事で出てるけど、
私の言葉で はっきり言える。

痛みの原因はもとより どうして痛みは出るのか? この先 どう生活していくとまた痛みが出るのか、時間軸を 過去 現在 未来と想像して 総合的に患者さんを良くすることを考えたら、患者さん自身の食生活の改善と、生活する上での靴や衣類、環境も改善しなくてはだめなんだ。その目線を持つことが大事なんだ。

それが徐々に解ってき出したら

逆に 私を心底から臨床へと突き動かしていた原動力 ″面白味″が薄くなってきた・・・・。

仕事が忙しくなればなるほど義務感と孤独感が強くなっていった・・・。

この感情が 開業して3年もたたない間に来るとは思わなかった。

10年前に辿り着きたいと思っていた 私の決めたゴールに 思ってたより早く辿り着いてしまった・・・

「なかなか自分の決めたゴールに辿り着ける人はいないよ・・・」と友人は言った。

もう 全ての仕組みが解ってしまったから こんなしんどい仕事 辞めてしまいたいと思った・・

心底 そう思った。

でも 今の私の知識と技術があるのは、私を信じて治療に来てくれてる患者さんあってのものなんだよね・・・

同じ患者さんが 繰り返し来てくれたからこそ 解った事実が本当にたくさんある。

だから 自分一人でここまで来たんじゃないってことを絶対に忘れちゃいけない。

そして単なる自己満足でこのまま終わってはいけない。

私が得た知識と技術を 不格好でもいいから形に残す作業を始めようと思う。
(ここに書いて 自分のケツ叩いてます)

DSCF4141読み込んだこれらの書籍と
患者さんのカルテが私の師匠。

人に物事を伝えるのは本当に難しいし 大変なことなんだけど
もう重い腰をあげんとおえん、、、

すべてが解ったと思ってるけど、
患者さんを一人一人じっくり診ていくと 毎日 また新たな発見や面白味が湧いてくるし、
DSCF4122人に伝えようと文章を書いていくうちに また新たな疑問もきっと湧いて出てくるだろう・・・

死ぬまで山登りは続きそう・・・(半分泣いてる)

さて、、、もう一踏ん張りします・・・